相続人は、「財産に属した一切の権利義務を承継する」(民法896条)と規定されています。これは、預金や土地などの財産だけでなく、借金も相続することを意味します。したがって、借金などについては、原則として相続人が支払いをしなければなりません。
ただし、相続人には自らの意思で相続をしないことを選択するという自由が認められています。これを相続放棄といいます。たとえば、亡くなられた方の残された財産(預金・土地)などが2000万円で借金が3000万円だとすれば相続をするとマイナスとなってしまいます。このような場合には相続放棄をすることにより、一切の権利義務の承継を免れることができるので、土地・預金を手にすることはできなくなりますが、借金の支払いも免れることができます。
相続放棄の手続は家庭裁判所に申述することによってします。期間は自己のために相続の開始があったことを知った日から3ヶ月以内と非常に短期間となっているので注意が必要です。
その他、相続した財産の範囲内で亡くなった方の借金を返済し、あまりがでれば相続ができるという制度があります。これを限定承認といいます。
たとえば、遺産として土地や預金のほか借金もあり、最終的にプラスになるかマイナスになるかわからないというときに、相続財産限りで清算し、もしプラスがあれば相続をすることができます。
制度としては合理的ではありますが、自己のために相続の開始があったことを知った日から3ヶ月以内に財産目録を作成して家庭裁判所に提出し、相続人全員で限定承認手続を行わなければならず手続が煩雑です。相続人が多く意見統合が図れない場合には限定承認をすることが困難であるといえます。
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